一口に看護師といっても、注射などの処置があまりない職場に勤務する場合や離職していた期間の長さにより、注射の技術に不安を持つ人もいます。経験の有無にかかわらず、看護師が注射の必要性や種類、注意事項などについて確認する意味で、定期的に基本を復習しておくのは良いことです。まず注射は、体内に直接薬剤を注入することで、経口投与と比較して、薬剤の吸収が早くなるとともに確実に行え、より効果的な治療が行えるメリットがあります。注射が適応されるケースの一例は、意識がなかったり、悪心や嘔吐が強く、経口投与ができない場合です。また、輸血や輸液など、大量の薬剤を投与する必要がある場合にも適応されます。さらに、患者の症状が重篤で、薬剤を確実に治療に結びつけるために、直接体内に注入する方法が取られます。加えて、注射剤しかない薬剤を使用する場合や、経口投与では消化器などに負担がかかったり吸収されにくい薬剤を使用する場合も、注射適応となります。
注射の種類ですが、表皮と真皮の間に注入する皮内注射、脂肪など皮下組織に注入する皮下注射、脂肪の内側にある筋肉に到達させる筋肉内注射、静脈内に直接薬剤を注入する静脈内注射があります。静脈注射の場合は穿刺できたことを逆血の発生で判断できますが、逆に他の注射は逆血がないことを確認する必要があるでしょう。注射針を刺したときに痙攣したり、しびれや激痛を訴えた場合は、神経に触れた可能性があるため、すぐに注射を抜いて針を変えて違う部位にさすようにします。注入中と注入後は患者の状態をよく観察し、アナフィラキシーショックなどに迅速に対応できるようにしておくことが大切です。