注射を打つのは看護師の重要な仕事のひとつですが、人によって上手い下手があるのも事実です。同じ看護師でありながら注射の打ち方に違いがあるのは経験の差が大きく関係しています。注射針が痛みを感じる神経に触れてしまうのは避けられませんが、上手な看護師はわずかな時間で薬剤の注入を完了させます。逆に注射が下手な看護師のほとんどは注射針を刺してから薬剤を注入するまでの行為がもたついています。感じる痛みそのものは変わりませんが、時間の長さが違っているのです。また、針を抜く際の角度や力の加減も経験によって良し悪しが異なります。ベテランの看護師は患者の表情や腕のこわばりを注意深く観察し、最善の状態を見極めて針を抜きます。
経験不足な看護師は早く注射針を抜こうと焦るあまり、角度を考慮せず力任せに注射器を扱います。そのため、神経に余計な刺激が伝わり、それが痛みに感じられてしまうのです。何よりも経験を積むことが注射を上手に打つための条件ですが、他には針の太さと患者の体質に注意することが重要になります。針が太いほど神経に触れる部分が多くなり、それだけ痛みも感じやすくなります。また、血管の位置や太さも人によってわずかな差異があることから、どの部分がもっとも神経を刺激せずに注射が打てるかを冷静に観察しなければいけません。また、薬剤の注入に時間をかけず、速やかに針を抜くのも痛みを軽減させるコツですが、早すぎても良くないので慎重に注入します。